加治隼人
特殊詐欺の収益を資金洗浄(マネーロンダリング)したとして、福岡、秋田、岡山、青森の4県警の合同捜査本部は、IP電話回線レンタル会社「ボイスオーバー」(東京都)代表取締役の村松敬泰容疑者(38)=神奈川県厚木市=と、同社傘下会社の社員河野佑太郎容疑者(35)=東京都日野市、詐欺罪などで起訴=を組織犯罪処罰法違反(犯罪収益等隠匿)の疑いで逮捕し、30日発表した。福岡県警は、2人の認否を明らかにしていない。
福岡県警捜査2課によると、ボイスオーバー社は各地の特殊詐欺グループにIP電話回線を貸し出してきた国内有数の業者という。同社の回線が使われた特殊詐欺事件は、2013年~21年に全国で約4600件起きており、被害総額は約80億円にのぼると県警はみている。
今回の逮捕容疑は、2人が昨年7月10日、詐欺グループが青森市の50代女性からウェブサイトの登録料名目でだまし取った5万円相当の電子マネーをネット上で転売し、収益約3万7千円を河野容疑者名義の口座に入金させて隠したというもの。収益の一部は村松容疑者側に流れていたという。
合同捜査本部は今後、一連の特殊詐欺事件への村松容疑者の関与の有無や、詐欺グループがだまし取った資金の流れについて解明をめざす。河野容疑者は今年2月以降に詐欺容疑などで数回逮捕されている。(加治隼人)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル