京都市で暮らす佐藤研二さん(71)は、自宅の一角で喫茶店「サンの店 SAN Cafe」を営む。かつて、1匹の犬を飼っていた。名前は「サン」。
2011年3月11日の東日本大震災後、飼い主とはぐれた小麦色のオスの雑種で、震災から7カ月後、宮城県富谷(とみや)市の被災動物保護センターから佐藤さんが引き取った。
サンに愛想はないのに、なぜか人やほかの犬が寄ってくる。引き取った「誕生日」には、犬の絵が付いた手作りのクッキーを贈ってくれた常連客もいた。
ずっと一人暮らしで、サンは息子のような存在だった。毎日同じ部屋で寝起きし、鴨川沿いや、京都御所を一緒に散歩した。無我夢中で川沿いの歩道を走り出すサンに、自転車で全速力でついていった日もある。
「出会う前もかわいがられていたんだろうな」。元の飼い主のことが、ずっと気がかりだった。
突然、一本の電話が
佐藤さんは元の飼い主をさがしに被災地に出掛けていき、「私が飼っていた犬と似ている」という女性と出会います。
18年に、津波被害のあった…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル