最大震度7を観測した能登半島地震から、1日で2カ月となる。水道管が広範囲で壊れ、道路が寸断されて復旧工事に制約があったことなどから、なお約1万9千戸で断水が続いている。水がなく、仮設住宅も需要を満たしていないことから、避難は長期化。がれきの片付けが進まない地域もなお残っている。
石川県によると、1月1日の地震によって、16市町の約11万戸で断水。県は水道の復旧を最優先として取り組み、2月初めまでに9市町で断水は解消されたが、特に被害が大きかった自治体では、復旧が進んでいない。復旧率は珠洲市で3・1%、輪島市で41・8%にとどまっている。
県によると、ライフラインである水道の不通で帰宅ができない被災者も多く、なお1万1447人が避難生活を続けている。このうち、学校の体育館などの1次避難所に5759人が身を寄せる。ほかに、車中泊を続けている人が約140人いるといい、健康状態の悪化が懸念されている。ほかに血縁を頼るなどして避難を続ける自主避難者も数千人いるとみられる。
基幹道路「のと里山海道」は、片側通行可となる区間が増え、上下水道の工事に入る環境が徐々に整った。県は3月末までに断水がおおむね解消されるとの見通しを示している。ただ、珠洲市の一部では4月以降になるという。
その他の生活インフラでは、発災直後に約4万戸に達した停電が約550戸にまで減少。通信もほぼ回復した。(土井良典、波絵理子)
石川県の馳浩知事は29日、「時々刻々とステージは変わってきている。仮設住宅の建設を急がなければいけない。いつまでも避難所生活というのは大変厳しいと思う」と話した。
県内の住宅被害は7万5421棟で、全半壊は判明分だけで23%にあたる1万7095棟。輪島市で約1万3千棟、珠洲市で約9400棟の被害があり、輪島では半数、珠洲では約6割が全半壊となっている。
仮設住宅への入居希望は7884件に上るが、2月末までに完成したのは302戸。さらに3月末までに県内で4600戸の応急仮設住宅が着工予定だが、入居希望の6割に満たない。
さらに被災地では損壊家屋のがれきや家具など、災害廃棄物の処理が課題だ。県は、ごみ排出量を県全体の7年分に当たる約244万トンと推計しており、2025年度末の処理完了をめざすという。
今回の地震による死者は241人が確認されている。珠洲市で103人、輪島市で102人、穴水町で20人と3市町で9割超を占める。警察庁の1月末時点でのまとめ(死者222人)では、死因は圧死が4割、窒息・呼吸不全が2割強で、多くの人が倒壊した建物の下敷きとなったとみられる。安否不明は輪島市の7人。
認定された災害関連死は15人で、この1カ月は増えていないが、避難の長期化に伴い、引き続き対策が求められている。(土井良典、波絵理子)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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