被爆者らの苦痛「受忍限度超えず」 安保法制違憲訴訟で広島地裁判決

三宅梨紗子

 集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法憲法に違反するとして、広島県内の被爆者戦争体験者ら計289人が、自衛隊の出動差し止めと1人10万円の国家賠償を求めた訴訟の判決が8日、広島地裁であった。森実将人裁判長は「生命身体が侵害されるおそれが具体的に生じているとはいえない」などとして、憲法判断は示さずに原告側の請求を退けた。原告側は控訴する方針。

 判決は、自衛隊の出動差し止め請求については「行政処分に当たらない」などとして却下。集団的自衛権を行使する基準があいまいなため、世界中で武力行使が可能となり、精神的苦痛を受けたとする原告側の主張についても、「原告らの精神的苦痛は社会通念上、受忍すべき限度を超えているとはいえない」とし、国家賠償請求を棄却した。

 原告団によると、同様の集団訴訟は全国22地域で25件起こされ、一審判決は17件目。いずれも憲法判断を示さず、原告側の請求を退けている。原告団の杉林晴行共同代表(81)は8日が太平洋戦争開戦の日であることに触れ「戦争は人間が犯す最大の罪。繰り返さないために安保法制を認めてはいけない」と話した。(三宅梨紗子)

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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