広島は6日、被爆78年の「原爆の日」を迎えます。同日朝に開かれる平和記念式典には、原爆で亡くなった人たちの遺族や、地元選出の岸田文雄首相らが参列する予定です。ロシアによるウクライナ侵攻で核兵器の脅威が高まっている上、5月の主要7カ国(G7)広島サミットで「核抑止」の維持が正当化される中、被爆者らは「核兵器なき世界」の実現をこれまで以上に強く求めています。5日から6日にかけての出来事を速報します。
■■■8月5日(日本時間)■■■
19:15
鎮魂のかがり火、川面照らす
広島市の原爆ドーム脇を流れる元安川で、鎮魂のかがり火がともされた。かがり火はいかだの上に設置され川面を照らした。平和記念公園の「平和の灯(ともしび)」から採った種火を使って、平和への願いを書いた木札をたき上げた。
19:00
「私たちが声をあげることが必要」 若者ら語りあう
20代を中心とした若者らでつくる「カクワカ広島(核政策を知りたい広島若者有権者の会)」は広島市中区で、核廃絶への「ロードマップ」を考えるイベントを開いた。
同会のメンバー6人は、核兵器をめぐる現状について核不拡散条約(NPT)や国内の動きなど説明し、参加者15人と意見交換した。共同代表の高橋悠太さん(22)は「国政のイシュー(問題)だと言っても核兵器はなくならない。私たちが声をあげて、動くことが必要だ」と訴えた。
18:30
78年前の「あの日」、子供たちが演じる
被爆者の証言をもとにした日英共同プロジェクトの舞台「ヒロシマの孫たち」が広島市内で上演された。被爆者15人から小学生が聞き取った体験をもとに制作。舞台では、被爆者の証言が音声で流れ、子どもたちが78年前の「あの日」の様子を演じた。小中学生らが舞台に立ち、原爆投下による惨禍を伝えた。
「お母さんが血だらけになってうめきよった」「お母ちゃん、やけどが痛い」――。被爆者の役を演じた中3の力(ちから)爽真(そうま)さん(14)は「原爆が投下された日に被爆者がどんな思いで逃げて、その後を生きたのか。平和を考える機会になった」と話した。
18:30
「核保有の固定化」を懸念 配信イベント
被爆地の広島と長崎、核不拡散条約(NPT)再検討会議の「準備委員会」が開かれているウィーンをつなぐオンライン配信「世界中継2023夏」が5日夕方、開かれた。被爆者団体や反核NGOなどでつくる「核兵器廃絶日本NGO連絡会」が主催した。
ウィーンで準備委員会を見守っている長崎大学核兵器廃絶研究センターの河合公明氏は、「ウクライナ戦争が続く中、議論が停滞している。核兵器国による核保有を固定化する動きが続き、(NPTが)五つの国に核の保有を認め続けるだけの機能を果たしてしまっている」と話した。
連絡会事務局の遠藤あかりさんは広島から中継した。5日に広島で開かれた国会議員を招いた討論会に触れ、「11月に開かれる核兵器禁止条約の第2回締約国会議に野党議員が声を合わせて『オブザーバー参加をすべきだ』と言っていたのが印象的だった」と語った。
17:30
国会議員が討論会 核廃絶へ日本の役割は
6日の「広島原爆の日」を前に、核兵器廃絶に向けた日本の役割を考える討論会が5日、広島市中区の広島弁護士会館であった。
8政党の国会議員が出席。11月に開かれる核兵器禁止条約第2回締約国会議に、日本がオブザーバー参加すべきかどうかについて論戦を交わした。
討論会では、自民党の寺田稔衆院議員(旧広島5区)に対し、公明党や立憲民主党、日本維新の会など残り7政党の議員が「日本政府はオブザーバー参加すべきだ」と主張した。
一方、寺田議員は「党内に持ち帰って議論させていただく」と返答。核兵器廃絶は「核保有国を巻き込んでいけるかがポイントになる」と説明したうえで、「核不拡散条約(NPT)の場が最重要」とする従来の政府見解を繰り返した。
15:10
米国の学生が英語で被爆者の紙芝居
5月のG7広島サミットで首脳たちと面会した被爆者、小倉桂子さん(86)の体験を描く紙芝居を、広島市を訪れた米国・アイダホ大の学生たちが英語で披露した。国内外で語ってきた小倉さんが昨年9月に同大を訪問した際、米国の子どもたちに米国の若者から伝えられるよう、日本語を学ぶ学生に紙芝居の翻訳を「宿題」として託していた。
原爆ドームそばの「おりづるタワー」内の会場で紙芝居の上演を見た小倉さんは、「これは世界のみんなが一緒になって何かをすることを表している。平和は一つの国、たった一人ではつくれない。核兵器を完全になくすにはみんなが協力しなければいけない」と語った。
13:30
米カトリック教会の大司教が核廃絶訴える
米国カトリック教会の大司教らが5日、広島市中区の世界平和記念聖堂で開かれた平和行事「声をあげよう 核兵器で平和はつくれない!」(カトリック広島司教区主催)に初参加した。サンタフェ大司教区(ニューメキシコ州)のジョン・C・ウエスター大司教(72)は基調講演で、「私たちは核兵器を最初に使用した。だからこそ、私たちは核兵器を解体し、二度と使用されないようにしなければならない」と約120人の聴衆に呼びかけた。教区の管内には米国の原爆開発「マンハッタン計画」の拠点ロスアラモスもある。
13:00
キューバから千羽鶴「原爆投下は野蛮」
平和記念式典を控えた平和記念公園に5日、かつて核戦争の危機にさらされたキューバから千羽鶴が届いた。スペイン語で「彼らの魂の叫びが、なぜ私たちが平和のために戦うのかを思い出させてくれますように」とのメッセージが寄せられている。広島市立本川小の児童らによる献納には、キューバ大使館のダイロン・オヘダ2等書記官が同行。「原爆投下が野蛮なことであり、核兵器のない世界に向けて協力していくことを広島の人々とともに伝え続けたい」と話した。
11:00
「焼き場に立つ少年」 写したカメラマンの写真展
原爆投下後の長崎で撮影された「焼き場に立つ少年」。写した元米従軍カメラマン故ジョー・オダネル氏の「平和写真展」が5日、福島県会津若松市で始まった。オダネル氏の妻が会津若松市の出身だった縁で実現した。撮影したことに対するオダネル氏の苦悩と自責の念、さらに妻が思いを寄せる東京電力福島第一原発事故後の福島。さまざまなことが呼び起こされる写真展は9日まで。
10:30
韓国人被爆者の慰霊祭に200人
広島市の平和記念公園にある「韓国人原爆犠牲者慰霊碑」の前で5日、慰霊祭が開かれた。この1年間で亡くなった8人を含む2810人の死没者名簿が碑に納められ、在日韓国人や日韓の学生ら約200人の参列者が黙禱(もくとう)をささげた。
54回目となる今年、国外で暮らす韓国人らを支援する韓国政府の「在外同胞庁」の代表が初めて参列した。李基哲(イギチョル)庁長は「原爆被害を受けた同胞たちの苦しみを抱き、また慰めていく」と追悼した。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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