大平要
57年前の1966年に静岡県で起きた一家4人殺害事件で死刑が確定していた袴田巌さん(87)の裁判をやり直す再審の開始が確定したことを受け、弁護団が21日に静岡市で報告集会を開いた。袴田さんも姿を見せ、約150人の支援者らに「皆の協力があって勝ち抜ける」と語ると、大きな拍手を受けた。
袴田さんをめぐっては、東京高検が20日、再審開始を認めた13日の東京高裁決定について最高裁への特別抗告を断念したため、再審開始が確定。静岡地裁で今後開かれる再審公判で無罪になる見通しとなった。
袴田さんはこの日、姉の秀子さん(90)に付き添われて舞台に上がった。支援者が「再審開始が決まったので、巌さんの無実を信じてきた人が集まっているんですよ。ぜひ一言お願いします」とマイクを渡すと、1分間ほど話した。
袴田さんは2014年に釈放されるまでの47年超の拘禁生活で精神を病み、現実と妄想の区別がつきにくい時がある。そんな中、「竜との戦いには皆の協力があって勝ち抜ける。よろしくお願いします」とあいさつした。
自分の写真が載った新聞を
秀子さんは「巌にも再審開始になったと言っているし、新聞も見せている。自分の写真の載った新聞を食い入るように見ている」と自宅での様子を紹介。「長い裁判で、あと半年、1年かかると思う。これからが正念場。どうぞもうしばらくお付き合いください」と訴えた。
弁護団は、検察が特別抗告を断念した理由や再審の見通しを説明した。西嶋勝彦弁護団長は「高裁決定は検察の言い分をことごとくつぶし、反論のしようがない。最高裁にもっていったところで相手にされない。特別抗告の理由が書けないのは当然だ」と述べた。
集会には、痴漢冤罪(えんざい)をテーマにした映画「それでもボクはやってない」などで知られる映画監督の周防正行さんも参加。事件の教訓を、再審をめぐる法制度の改正につなげる必要性を訴えた。(大平要)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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