判決文や尋問の速記録といった刑事裁判記録のうち、通常の期限後も半永久的に保存される「刑事参考記録」について、法務省は、指定対象となる事件の類型に「主要全国紙の1面に掲載されるなど大きく報道された事件」などの具体的な基準を定めることを決めた。指定にあたって有識者に意見を求める仕組みも新たに設ける。
上川陽子法相が12日の記者会見で明らかにし、「公文書の保存管理が歴史の評価に堪えるものとなるには、大事なものは確実に残していくことが重要」と語った。
刑事裁判記録は、無罪を含む刑の重さなどに応じて確定後3~50年の保管期間が法で定められている(判決文は最長100年)。期限を過ぎて廃棄されれば判決に至る経緯がわからなくなるため、刑事法制や犯罪の調査研究に重要なものを刑事参考記録とし、法務省の通達で定める「犯罪史上顕著な事件」「重要な判例となった事件」などの類型に基づき、各地検などが指定の要否を判断している。
この類型だけでは判断がばらつきやすいとして、「主要紙1面」のほか最高裁判例集の掲載事件などの基準を示すことにした。類型外の事件や地検などが指定を不要と判断した事件について、有識者の意見を聴いた上で法務省が判断する仕組みも新設する。また、新たな類型として、検察審査会の議決により強制起訴された事件を加える。年度内にも運用を始める。
刑事参考記録に指定されている事件は昨年末時点で854件。罪名や事件名などの一覧が法務省ホームページで公開されている。(伊藤和也)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル