能登半島地震では、広い範囲で津波が発生した。政府の発表では、津波の浸水面積は石川県の珠洲市と能登町、志賀町の3市町で計190ヘクタール。現地調査やデータの解析で、今回の津波の特徴が浮かんできた。
「アスファルトが破壊され、めくれていた。津波が強力だったことを示していた」
津波の痕跡が残る被災地を調査した東北大の今村文彦教授(津波工学)はそう話す。
今村さんによると、今回の津波の特徴は「即時、長時間の継続、最大波出現の遅れ」だ。
東日本大震災を起こした太平洋の震源域と違い、陸から続く震源域で地震が発生したため、津波の第1波の到達は「即時」だった。
予測されていたこと、わからなかったこと
日本海の西にはアジア大陸がある。広がった津波は2時間かけて大陸に着いて反射し、2時間かけて日本に戻る。記録からは6回繰り返し、24時間以上続いたことが読み取れるという。
また、半島を囲む地形は複雑で、後続波が複雑に重なって高くなる傾向がある。たとえば、七尾港では第1波から2時間22分後に最大の高さの津波が到着した。
気象庁は、地震発生から約2分で津波警報を発表、大津波警報、津波注意報に切り替えていくが、すべての注意報が解除されたのは1月2日午前10時だった。
こうした日本海沿岸の津波の特徴は、地震発生前からおおよそ想定されていた。
東日本大震災を受けて石川県が最大津波の波源として想定した能登半島北方沖の断層の位置や規模は、今回の波源と似ていた。県がつくった津波のハザードマップには、第1波が0~5分で到着する場所もあるとの予測も記載されていた。
今村さんは「津波が早くくる…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル