褒章の尾畠春夫さん「あと50年生きてボランティアを」

 赤いねじりはちまきにオレンジのシャツ姿。全国各地の災害現場に駆けつけ、被災者と一緒になって復旧作業に当たる様子が多くの人を勇気づける。「スーパーボランティア」と呼ばれる尾畠春夫さん(81)=大分県日出(ひじ)町=が秋の褒章で緑綬褒章を受章した。

 信条は、対価・物品・飲食を求めないこと、自己責任、自己完結。2018年8月、山口県周防大島町で3日間行方不明になった2歳男児を発見した時は、男児の祖父から風呂を勧められたが丁重に断った。「スーパーボランティア」ともてはやされても「こんなの取り上げる方がおかしい」。今回の受章も「当たり前のことをさせてもらっているだけ」とそっけない。

 活動の原点が、受章理由に挙げられた、自宅から1時間足らずの由布岳(標高1583メートル)での環境保全活動だ。登山道にベンチや階段をつくり、道に迷わないよう4カ国語の看板も立てる。趣味の登山は40歳を過ぎて始めた。「山を歩くなら、手入れするのも登山者の務め」と由布岳には50歳から30年以上通い、今も年間120~130日は足を運ぶ。

 被災地でのボランティアは04年の新潟県中越地震が皮切りだ。28歳から営んでいた鮮魚店を閉めたばかりだった。誰にも告げず、貼り紙で知らせると惜しむ声が相次いだ。「みんなから優しくしてもらった恩をどう返したらいいかと思い、ボランティアをさせてもらっています。ほんの少しの恩返しやけどね」

 11年の東日本大震災の後は、…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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