襲撃された宮台教授と安倍元首相 教え子で番記者でもあった私の思い

 【栃木】20代の一時期、濃密な時間と空間をともにした2人が今年相次いで襲撃された。東京都立大学教授で社会学者の宮台真司さん(63)と元首相の安倍晋三さん(享年67)だ。安倍さんは7月の参院選期間中に帰らぬ人に。宮台さんは11月末、男に刃物で襲われ重傷だが、一命はとりとめた。

 私(39)にとって2人はコインの表裏のような存在だ。ともに主張が明快なゆえにファンもアンチも多い。思想的な立場は正反対で、宮台さんはリベラルな立場から安倍政権を批判し続けた。

 宮台さんは1990年代以降、人文社会科学の分野のスター学者の一人だった。女子高校生の援助交際が社会問題になった際、そのフィールドワーク取材で名前を知られるようになったが、彼の真骨頂は東大で博士号をとった理論社会学の枠組みで、森羅万象を解説してみせる点にあった。

 高校時代に著作を読破していた私は都立大とは別の大学に進んだが、宮台さんの大学や院生のゼミに参加させてもらえるようになった。親しくなり、頼まれて個人的なアルバイトもした。

 教え子である私が朝日新聞に入ったことを喜んでくれた。私は主に政治記者の道を歩み、永田町で起きる他社との特ダネ競争に忙殺され、ここ数年は会わずじまいだった。

渡される「答えのないバトン」

 宮台さんが批判する安倍さん…

この記事は有料記事です。残り510文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

Japonologie:
Leave a Comment