新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく政府の緊急事態宣言に関連し、西村康稔経済再生担当相と大阪府の吉村洋文知事が「無責任」「勘違い」などと応酬を繰り広げた。休業要請を段階的に解除するための「出口戦略」に関してのことだ。背景にあったのは、都道府県知事が休業要請などの感染防止対策を講じる際、一定の拘束力を持つ国の「基本的対処方針」の存在だ。
「休業要請(の解除)は知事の権限の範囲内と、明確に西村氏に言ってもらった」。吉村氏は7日、府庁で記者団にこう述べ、対立解消をアピールした。
発端は吉村氏の発言だった。5日に休業要請を段階的に解除する独自基準「大阪モデル」を公表した後、記者団に「トンネルの出口の指標を示すのが政治の役割。示さずに(宣言を)延長するのは無責任だ」と述べ、国を批判した。
これに対し、西村氏は6日の記者会見で「勘違いしているのではないか。強い違和感を覚える。解除は知事の権限だ」と反論。「都道府県知事の権限を増やしてほしいと主張しながら、休業要請を解除する基準を国が示してくれないというのは大きな矛盾だ」と不快感を示していた。
これを受けて吉村氏は7日、「勘違いしているわけではない。国に(休業要請)解除の基準を求めることはしない。解除をどうするかは地方でやるべきだ」と述べた。
何が問題だったのか。
国が4日に改定した新型コロナの基本的対処方針は、大阪を含む特定警戒都道府県が施設の使用制限などを要請する際、「国と協議し、知事が適切に判断する」と規定している。ただ、要請などの解除に関する具体的な記載はない。
この点、吉村氏は「僕らは基本的対処方針に従わないといけない。解除が知事の権限と思ってやっても(国と協議する規定が)書かれたら、ひっくり返る」と自身の発言の趣旨を説明。「(規定を対処方針には)示さないと西村氏が言ったと理解している」との解釈を示した。
一方、吉村氏は緊急事態宣言の解除について「(国が)出口戦略を示すべきという考えに変わりはない」とも語った。西村氏も7日の記者会見で、宣言の解除基準に関し「対象地域をどう考えるかというのは国の責任なので私が説明責任を負う。しっかり示したい」と言及。2人とも歩み寄りをみせた格好で、西村氏は吉村氏との関係について「むしろ絆が深まったと思う。連携して収束に向けて全力で取り組みたい」と強調した。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース