テレビ番組の「視聴率」がこの春から変わる。視聴率といえばビデオリサーチ社の「世帯視聴率」だったが、同社による「個人視聴率」の調査を全国で拡充し、番組の「全国視聴人数」も算出するようになる。テレビ局側が番組作りや営業で使える指標が増える。
「2019年の年間最高視聴率はNHK総合で放送されたラグビーワールドカップの日本―南アフリカ戦で41・6%だった(関東地区)」
こうした文脈で使われる「視聴率」は従来、どれくらいの家で見られていたかの割合を表す「世帯視聴率」のことだった。1962年の調査開始から、何度か設計変更があったものの、一貫して使われてきた指標だ。同一番組の視聴率を今昔で比較するときにも使われている。
視聴率にまつわる記事で使われるのはたいてい「関東地区」の世帯視聴率。現在は900世帯を対象に、番組をテレビに映しているいわば「屋根の数」の割合を、統計的に算出している。
だが少子高齢化や若者のテレビ離れが進んだ結果、世帯視聴率は中高年以上の好みが反映されやすく、広告主が訴求したいターゲットとのミスマッチがあると指摘されている。
ビデオリサーチが3月30日から、「視聴者のライフスタイルの多様化を踏まえて、視聴の実態をより正確にとらえるため」(担当者)、充実させるのが「個人視聴率」の調査だ。性別や年代、職業別にどれくらいの人数が見たのかを表せる指標だ。視聴率を測る「ピープルメータ(PM)」と呼ばれる機械についている個人ごとのボタンを押してもらうことで、視聴実態を把握している。
PMによる個人視聴率調査は1997年に関東地区で初めて導入された。現在は関東、関西、名古屋、北部九州の4地区で調査されている。その他の地区でも個人視聴率を測っているが、日記式と呼ばれるアンケートによるものだ。
ビデオリサーチはこの春からPMでの調査を全国27地区にまで拡大する。全国で調査方法が統一されることから、全国でどれくらいの人が見ているのかを表す推計値「全国視聴人数」を算出できるようになるという。
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル