この1年、コロナ禍や物価高が、ひとり親家庭の暮らしを直撃した。食品を無償で届ける「フードパントリー」の現場には、困難を抱えた女性や家族が足を運ぶ。主催団体は「少しでも笑顔になってもらい、明日の一歩を踏み出してほしい」と願う。
2月下旬、名古屋市の金山駅南口。物販などがある「金山にぎわいマルシェ」の一角のテント前には列ができた。次々と、スタッフから袋を受け取っていく。
「お米は助かります」「たくさん、ありがとう」
子どもを連れた女性が多い。袋の中身は、米やレトルトのご飯やカレー、カップ麺など。
「この1年、とにかく光熱費の値上がりが大変だった」。3歳の長女と来た愛知県長久手市の女性(46)は言う。母子2人暮らしで、女性は週6日、工場で働く。元夫からの養育費3万円も「いつまでもらえるか分からない」といい、実家の親とは、かつて虐待されたこともあって疎遠だという。
「熱が出て2人で寝込んでも誰も頼れる人がいない。ただ生きるので必死」。ぐずる我が子を抱き上げて、会場を後にした。
この取り組みは、社会福祉法人「愛知県母子寡婦福祉連合会」が昨年3月から始めた。「ひとり親家庭フードパントリー&無料相談会」と名づけ、この日はLINEで事前予約した計80組が訪れた。就労や健康、住まいに関する相談に専門家がのる。
周囲に頼りづらい事情を抱えている女性は多い。
ベビーカーを押してやって来た女性は、家庭内暴力(DV)で夫のもとを逃れ、東海地方へ。子を守り頼れるのは自分だけ。住まいの確保など新生活のために100万円以上も蓄えを切り崩した。
「まずは子どものこと。昔は…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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