札幌すすきののホテルの一室で頭部のない男性(当時62)の遺体が見つかり親子3人が逮捕された事件で、札幌地検は6日、3人の共謀を問えないと判断した。起訴内容がそれぞれ異なる展開となった。
北海道警が捜査段階から実行役とみていた田村瑠奈容疑者(30)は、殺人罪や死体損壊の罪で起訴。父の修容疑者(60)は、一連の行為を手助けした殺人幇助(ほうじょ)などの罪で起訴した。母の浩子容疑者(61)は死体損壊幇助と死体遺棄幇助の罪とした。
道警は3人とも同じ殺人などの容疑で逮捕・送検していた。しかし札幌地検は、3人の共謀は成立せず、瑠奈容疑者が主体だったと判断した。石井壮治次席検事は臨時の会見で「この起訴内容で立証できるだけの証拠が集まったということ」と述べるにとどめた。
殺人罪とその幇助罪に問われる瑠奈、修両容疑者は裁判員裁判で審理されることになる。一方、浩子容疑者はその対象外だ。
裁判員裁判では、裁判官・検察官・弁護人が事前に争点などを確認し合う「公判前整理手続き」が必須で、初公判までには時間がかかる見込みだ。3人の裁判をどう進めるかは、今後、札幌地裁が判断する。(新谷千布美、石垣明真)
今回の事件の流れ (捜査関係者などへの取材による)
2023年5月下旬 ダンスイベントで瑠奈容疑者と男性が会う
6月 再び瑠奈容疑者と男性が会ったか
7月1日
午後8時ごろまで 瑠奈容疑者が父と刃物などを購入
午後10時50分ごろ 瑠奈容疑者と男性がホテルに入る
7月2日
午前2時ごろ 瑠奈容疑者が1人でホテルを出る
父の車がホテル近くから走り去る
午後3時ごろ ホテル従業員が男性の遺体を発見
7月3日 道警が捜査本部設置
24日 瑠奈容疑者と父を死体遺棄などの容疑で逮捕
容疑者宅から男性の頭部が見つかる
25日 母も同容疑で逮捕
8月14日 親子3人を殺人容疑で再逮捕
8月28日 親子3人の鑑定留置が始まる
9月1日 父母が札幌簡裁に出廷し容疑を否認
2024年2月28日 親子3人の鑑定留置終了
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル