東京都杉並区の中学2年、張心澄(ちょうこすみ)さん(13)が8日、囲碁の日本棋院の棋士採用試験に合格し、プロ入りを決めた。曽祖父は「大木谷」とうたわれた故・木谷実九段。祖父、父とも名人など数々のタイトル歴を誇る囲碁史に名を残す棋士ファミリーだ。親子4代続く棋士の誕生は、日本棋院の所属では初めて。
心澄さんは採用枠1人の「女流棋士特別採用試験本戦」で出場9人中、7勝1敗の成績で1位に。2017年に院生(プロ候補生)になり、3回目のプロ試験で合格した。後日の正式な採用決定を経て、4月1日付で棋士になる。
曽祖父の木谷九段は、昭和最強と称された故・呉清源九段のライバル。弟子の育成にも力を入れ、主宰する木谷道場から趙治勲名誉名人(63)ら多くのトップ棋士が輩出した。
木谷九段の三女の故・礼子七段は高弟の小林光一名誉名人(67)と結婚し、2人の長女の泉美六段(42)は七大タイトルすべてを獲得している前名人の張栩(ちょうう)九段(40)と結婚。その2人の長女が心澄さんだ。
曽祖父、祖父母、両親の3代5人はすべてタイトルを獲得しており、獲得総数は125に達する。その4代目となる心澄さんは「おかげでたくさんの方に教えていただいてありがたかったです。もっと強くなりたい。囲碁を通じて成長していきたいです」と話した。
師匠でもある父の張九段は「こういう家庭なので、娘を棋士に育てなければという責任を感じていた。棋力的にはまだまだ物足りないが、まだまだ伸びていくと思う」と話した。祖父の小林名誉名人は「壁を一つ越えたけど、プロの世界は入ってからが大変。しっかりやってほしい」とエールを送った。
親子4代続いて棋士になった例は、国内もう一つの棋士団体、関西棋院にも関山利道九段(46)まで続く関山家がある。(大出公二)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル