浄土真宗を開いた親鸞(1173~1262)の直筆の教典が長崎県大村市の正法寺で見つかった。九州での直筆発見は2例目で、親鸞が念仏や信心を重んじながら教義をまとめたことが読み取れる史料という。浄土真宗本願寺派長崎教区教務所が3日発表した。
見つかったのは浄土真宗の重要な教典の一部で、阿弥陀如来が人々を救うため立てたと伝わる48の願文(がんもん)のうち、念仏や信心の重要性を説く「十七・十八願文」。調査に携わった本願寺史料研究所(京都)によると、「佛」「我」という文字が親鸞の筆跡と似ており、晩年の直筆と判断した。
同教務所が長崎県内でどのように浄土真宗が伝わったかを調査するプロジェクトを進める中、同寺の前住職が約20年前に業者から購入していたこの教典を鑑定した。縦25・6センチ、横15・9センチの1枚の紙に書かれており、文章が途切れていることから、教典の冊子から切り取られた1ページと考えられる。
親鸞の直筆は全国で数十点確認されているが、九州で見つかったのは鹿児島県姶良市の性応寺の1点のみ。同研究所の岡村喜史研究員(真宗史)は「新たに48の願文の直筆が見つかったことで、親鸞が浄土真宗を完成させる上で、何度も書写し、尊重していたことがうかがえる」と話す。(野村大輔)
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