北海道・知床半島沖で観光船「KAZUⅠ(カズワン)」が沈没した事故を受け、国土交通省は観光船の安全にかかわる情報を積極的に公開していく方針を固めた。カズワンのかつての事故歴が公表されず、観光船業界の情報公開が遅れている実態が事故を機に浮き彫りになった。再発防止につなげるため、大幅な改善に乗り出す構えだ。
検索結果0件、非公表の事故歴
「過去の事故の問題がきちんと情報開示されていたら、ここの会社は危ないと事前に判断する材料になる。船舶事故の情報開示のあり方が、ある意味で今回の事故につながった大きな原因ではないのか」。5月にあった参院国土交通委員会。無所属の増子輝彦議員は、カズワンの過去の事故と情報公開について質問したうえで、そう指摘した。
カズワンは昨年5~6月、浮遊物に接触したり、座礁したりする事故を起こし、けが人も出た。国交省は特別監査を実施し、文書での行政指導もしていた。しかし、こうした経緯は今回の事故が起こるまで、公表されていなかった。
事業者にとって不利益な情報を誰でも見られるようにしようと、国交省が開設している「ネガティブ情報等検索サイト」でも、運航会社の「知床遊覧船」で検索しても結果は「0件」。国への船舶事故の報告は年100件以上あり、旅客船・貨物船あわせて年十数社が行政指導を受けているにもかかわらず、サイトで処分が公開されている運航会社は4社だけだった。
理由は、小型観光船の事故や…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル