神奈川県内の解体作業現場でアスベスト(石綿)を吸って健康被害を受けた元解体工ら5人が建材メーカーに損害賠償を求めた訴訟の上告審で、最高裁第二小法廷(菅野博之裁判長)は3日、「解体工に対して石綿の危険性を警告する義務があったとは言えない」として、メーカーの賠償責任を否定する判決を言い渡した。責任を認めた二審・東京高裁判決を覆した。
被告は「ニチアス」「エーアンドエーマテリアル」の2社。第二小法廷は、2社が危険性を伝えるシールを建材に貼るなどの対策をとっても「解体までの経年劣化で読めなくなったり紛失したりしうる」と指摘。建材メーカーではなく「解体にあたる事業者が対策をとるべきだ」と述べた。
メーカーと共に訴えられた国については、十分な規制を怠ったことによる賠償責任が、先行した訴訟で確定。国は建設と解体の現場を区別せずに補償金の支払いを進め、今回の原告らとも和解が成立している。(根岸拓朗)
被害の恐れ 今後も
解体工は全国各地の石綿訴訟で建材メーカーに賠償を求めているが、最高裁がメーカーの責任を認めない初判決を出したことで、その実現が遠のいた。石綿を使った建物の解体は今後ピークに向かい、新たな被害者が出る恐れは今もある。
建設現場の作業員の被害につ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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