中央社会保険医療協議会は24日の総会で、2020年度の診療報酬改定に関する「第1ラウンド」の議論を取りまとめた。この日提示した「議論の概要」には、受診時定額負担の対象病院の範囲の拡大や、患者をかかりつけ医へと誘導するための評価の在り方などを話し合うべきだとする意見を明記。オンライン診療については、利便性のみに着目した検討は慎重に行う必要があるとの指摘のほか、要件を緩和する方向での協議を求める意見も盛り込んだ。中医協では、外来・入院・在宅・歯科・調剤といった個別テーマに分け、秋から「第2ラウンド」として具体的な診療報酬での評価の議論を深める。【松村秀士】
4月からの「第1ラウンド」では、▽患者の疾病構造や受療行動などを意識した年代別の課題▽昨今の医療と関連性の高いテーマについての課題―を整理する観点で協議した。
「議論の概要」では、各テーマの論点と委員からの意見を整理。年代別の課題に関しては、発達障害児など学童期以降も継続的に医療的ケアが不可欠な患者への対応が必要だとする指摘や、生活習慣病以外への対応や働く世代の人が仕事をしながら治療を受けられるような取り組みを求める声が上がった。
昨今の医療と関連性の高いテーマについての課題に関しては、▽患者・国民に身近な医療▽働き方改革と医療▽科学的な根拠に基づく医療技術の評価▽医療でのICTの利活用▽医薬品・医療機器の効率的かつ有効・安全な使用▽地域づくり・まちづくりでの医療▽介護・障害者福祉サービスなどと医療の連携▽診療報酬に関わる事務の効率化・合理化、診療報酬の情報の利活用を見据えた対応―の8つに分け、それぞれの意見などを盛り込んだ。
それによると、患者・国民に身近な医療については、200―399床の地域医療支援病院を患者が受診する場合に定額負担を責務とすることや、かかりつけ医への受診を促すために受診時定額負担の対象病院の範囲をさらに広げることを検討すべきだとの指摘があった。
また、かかりつけ医機能の評価を充実させることや、患者をかかりつけ医へ誘導するための評価の在り方のほか、機能強化加算が有効に機能しているかどうかの議論を求める声も出た。
■労働環境改善などのマネジメント、報酬での評価を求める声
働き方改革と医療では、院内での労務管理や労働環境の改善に関するマネジメントを促す診療報酬上の評価や、働き方改革に伴う人件費増加に対応するための入院基本料の在り方を話し合うべきだとの指摘があった。また、大病院での業務負担を軽減するための受療行動の変容を促す対策や、中小病院での薬剤師不足を踏まえた病棟薬剤師の評価や配置要件の見直しなどを求める声も上がった。
■オンライン診療の推進、診療側と支払側で意見分かれる
医療でのICTの利活用では、オンライン診療に関して、診療側の委員が「利便性のみに着目した議論には慎重であるべき」「対面と同等であるかどうかのエビデンスが必要」などと述べる一方、支払側の委員は、「安全に支障がない範囲で、緩和できる要件は緩和する方向で検討する必要がある」「仕事と治療の両立のために要件を適切なものに見直す方向で検討する必要がある」と、推進に向けた取り組みを進めるべきだと主張した。
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