フィリピンを拠点とする特殊詐欺グループの幹部だったとして、警視庁は9日未明、渡辺優樹容疑者(38)と小島智信容疑者(45)の2人を窃盗容疑で逮捕した。同国から日本に移送中の航空機内で逮捕状を執行した。この2人に先立って送還された同じグループの2容疑者を7日に逮捕しており、被害総額60億円以上とされるグループの解明を進める。
警視庁によると、渡辺容疑者と小島容疑者は2019年11月、警察官と金融庁職員を名乗って東京都内の男性に電話し、用意させたキャッシュカードを2枚をだまし取る特殊詐欺グループに幹部などとして関わった疑いが持たれている。警視庁は、渡辺容疑者がグループのリーダーで、小島容疑者がその側近だったとみている。
渡辺、小島両容疑者は、7日に送還・逮捕された今村磨人(きよと)容疑者(38)と藤田聖也(としや)容疑者(38)の2人と一緒にフィリピン・マニラにある入管施設に収容されていた。
これに対し、警視庁は渡辺、小島、今村の3容疑者については19年7月に、藤田容疑者は21年2月に逮捕状を取得。その後も容疑内容を変えて逮捕状を取っており、4人同時の送還をフィリピン側に求めてきた。同国は国内で続いていた全員の裁判の公訴が7日までに棄却されたとして、強制送還に応じた。
この4人をめぐっては、特殊詐欺事件のほかに、昨年から各地で相次いだ強盗事件への関与も疑われている。これらの強盗事件では、匿名性の高い通信アプリ「テレグラム」で「ルフィ」や「キム」と名乗る人物が指示していた疑いが浮上。同庁は4人の中に「ルフィ」「キム」がいるとみている。
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル