東孝司
徳島市の阿波踊りを主催する「阿波おどり未来へつなぐ実行委員会」は28日、1席20万円の価格設定が話題を呼んだ今夏の「プレミアム桟敷席」について、建築基準法を満たさない構造だったことを明らかにし、公式ホームページにおわび文を掲載した。
プレミアム桟敷席は、踊りの列を正面の高い位置から見渡せる特等席で、通常の桟敷(ひな壇)とは別に新たに設置された。
実行委事務局の市にぎわい交流課や建築確認を担当する市建築指導課によると、高さ2・5メートルの位置にある観覧席へ上り下りする「外付け階段」について、通路幅90センチ以上、手すりの高さ110センチ以上が必要だったが、それぞれ10センチ不足していた。県条例で別に定める「階段の出入り口の幅は1メートル以上」という規格も満たしていなかった。
開幕前日の11日、建築指導課職員が完成した構造物を確認。観覧席部分に問題はなかったものの、外付け階段が基準を満たしていないことから「検査済み証」を発行せず、事務局や工事関係者へ改善点を伝え、完了の報告を求めた。
これを受けて実行委側は手すりの改善はしたが、通路幅はそのままにし、警備スタッフの増員などの対応にとどめたという。建築指導課への報告もせず、検査済み証のないまま、12~14日に観客を受け入れた。
7月28日に実行委が出した建築確認の申請書の設計図面の段階では、階段の構造は基準を満たしていたという。にぎわい交流課の担当者は「なぜ図面通りにならなかったのか、なぜ指摘通りに直さなかったのか、企画会社や施工業者を含めて経緯の確認をしている」と話した。建築指導課は、改善完了を確認しなかったことを「当然、直して使っているものと思い込んでいた」としている。
実行委はおわび文で、プレミアム桟敷席の利用者に対して「ご不安をおかけいたしましたこと、深くお詫(わ)び申し上げます」と謝罪したうえで、経緯や原因を確認し、近日中に改めて報告するとしている。(東孝司)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル