認知症介護の投稿が生んだ小さな奇跡 63歳「元園児」が先生に再会

 普段は物忘ればかりの母が、百人一首で逆転勝利を収めた。そのギャップがおかしくて、家族一同、大笑い……。

 今年の正月、千葉市に住む63歳の地方公務員、西織哲大(にしおり・てつひろ)さんの家は、カルタ遊びで大いに盛り上がった。

 大変なことも多い認知症介護の日々に、一筋の光が差した瞬間を書き残したい――。

 そんな気持ちですぐに500字ほどの文章にまとめた。タイトルは「93歳の母の底力」。新聞の投稿欄にメールで送った。

 「元日の昼下がり、家で百人一首かるたの対抗戦を開いた。選手は2人。93歳の母と年女の妻。母は物忘れが激しいが、昔のことは覚えている。最初は妻がややリードしたが、残り札が少なくなった終盤は母の独壇場。次から次へと札を手にし、逆転で母の勝利。

 いつも物忘ればかりの母なのに、百人一首はこんなに覚えている……。驚きの93歳の底力に久しぶりに愉快に大笑いした」

 最後はこう締めくくった。

 「実は、母には少々やっかい…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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