31日投開票の衆院選で、今夏の東京五輪・パラリンピックの検証や総括が争点になっていない。コロナ下での開催の是非を巡り世論を二分し、無観客で開催された大会から2カ月。五輪を様々に見つめてきた人たちは、語られぬ五輪をどう考え、投票に臨むのか。
「政治家にとって五輪は終わったことなのか」
社会福祉士の龍田章一さん(36)はいま、そう感じる。選挙戦で各候補の主張を聞くが、五輪については話題にならないからだ。
「開催強行、理解に苦しむ」
神戸市西区の訪問看護ステーション「秋桜」を経営する。新型コロナの感染が広がった「第4波」の3~6月、兵庫県内のコロナ患者140人の自宅を訪問した。病床が埋まり、重症化しても入院できず、亡くなった人もいた。「危機的な状況で開催を強行したことは、今でも理解に苦しむ」
自身も車いすを利用し、車いすバスケの競技経験がある。代表チームには知人がおり、男子チームが銀メダルを取る快挙は生配信で見守った。
だが一方で、自宅療養の現場を見てきたからこそ、開催には反対してきた。国内の新規感染者数は五輪期間中に急増。開幕直前の7月22日には1日あたり約5千人だったが、8月中旬には2万人を超えた。感染急拡大の懸念があったなかで大会を中止しなかったことに、疑問が残る。
衆院選で語られぬ五輪。記事の後半では、コロナ感染でホテル療養中に五輪観戦に熱中していった女性や、選手団から複数の陽性者が出た上、逃走者が出る騒動に巻き込まれたウガンダ選手団受け入れホテルの社長が、選挙戦への思いを語ります。
コロナが今後収束するか不透…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル