後田竜衛、太田原奈都乃
山口県阿武町が4630万円を誤入金した問題で、町は20日、記者会見し、法的手続きで回収を完了した約4299万円に加え、残りの約340万円についても「確保した」と明らかにした。同町の無職田口翔容疑者(24)=電子計算機使用詐欺容疑で再逮捕=に誤入金したほぼ全額を回収できる見通しとなった。
町側代理人の中山修身弁護士によると、新たに確保できたのは、町が新型コロナウイルスに関する給付金をめぐり誤入金した4月8日から11日にかけて5回にわたり、田口容疑者の口座からデビットカード決済で約68万円ずつ出金された計約340万円だという。
田口容疑者がカジノサイトの決済代行業者とされる3社の口座に出金した約4299万円について、町は田口容疑者の税金滞納に対する徴収権などを使って業者から返還を受けた。中山弁護士は約340万円を確保した時期や具体的な方法の説明は避けたが、決済代行業者からの返還と「基本的に同じ」と述べた。
また20日、町が田口容疑者側に誤入金返還と弁護士費用など、不法行為に基づく損害賠償を含む計約5100万円の支払いを求めた訴訟の弁論準備手続きが山口地裁萩支部で非公開で行われた。田口容疑者側は約340万円を「弁済する予定」とする準備書面を提出し、その場で現金を渡そうとしたが、町側は受け取りを拒否したという。中山弁護士は「相手は不法行為ではないと争っており、受け取るわけにはいかなかった」と説明した。(後田竜衛、太田原奈都乃)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル