SNSで知人女性を脅したなどとして、大阪府警が府内の20代男性を2度にわたり誤認逮捕した問題で、大阪地検は男性を「嫌疑なし」として14日付で不起訴処分とし、16日、男性に謝罪した。男性の代理人が明らかにした。男性は今後、国や府に補償を求める方針。
同席した代理人の森島正彦弁護士によると、男性は16日午前、大阪地検で刑事部副部長ら2人と面会。副部長は「捜査に違法、不適正な点はないが、無実の方を誤認逮捕したことは申し訳ない」と述べ、頭を下げたという。
副部長からは「当時の証拠に照らせば、やむを得ないシステムエラーだった」との発言もあったといい、森島弁護士は「男性は今も逮捕のトラウマで生活に支障が出ている。逮捕直後に予定された弟の結婚式もキャンセルになった。仕方がなかったとの認識は誠に遺憾だ」と話した。
男性は「取り調べ中、検察官から『100%犯人だと思っている』と言われた」と訴えていた。森島弁護士によると、副部長はこの日、「(録音・録画された取り調べを確認した結果、)男性からの『100%犯人だと思っているのか』との質問に対し、検察官が『今のところは思っている』と答えていた」と認めたという。その上で、「気分を害する発言だったが、違法、不適正と判断していない」と述べ、検察官の処分は否定したという。
府警などによると、男性はインスタグラムのダイレクトメッセージ(DM)で20代の知人女性に複数回、面会を要求したなどとして強要未遂と脅迫の疑いで4月に逮捕された。5月には、女性の友人らにDMで女性の性的画像を送ったとして、リベンジポルノ防止法違反容疑で再逮捕。男性は容疑を否認したが、身柄の拘束は42日間に及んだ。
森島弁護士によると、性的画像を送ったアカウントの一つは男性の名字が使われ、大阪府北部で3月下旬の夜に開設されていた。その後、男性がこの時間帯に大阪府北部から離れた自宅にいたことが確認され、誤認逮捕が判明した。府警は捜査に問題がなかったか調べている。捜査員が取り調べ中に居眠りをしていたことを府警は弁護士に認めたという。
不起訴処分を受け、地検の佐竹毅刑事部長は16日、「勾留請求の時点で、勾留の必要性があると考えられる証拠関係にあったが、結果として犯人ではない男性を勾留したことは真摯(しんし)に受け止めている」とのコメントを出した。(山本逸生)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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