読者9割が町外在住 遠く離れた町民へ、心つなぐ広報誌

 福島県浪江町は、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故で全町民が避難した。今も1万7千人近い町民の9割以上が町外で暮らし、45都道府県に散らばる。各地で暮らすそんな町民たちの思いをつなぐ、町の広報誌の人気コーナーがある。「浪江のこころ通信」。登場した町民と作り手たちに、思いを尋ねた。

「思いを話せてありがたい」

 「自然がいっぱいで、空気が違う」

 2018年11月、浪江町に新築した自宅に戻った森野俊恵さん(68)はしみじみ言う。震災後は山梨県で働き、定年退職した5年前の春に福島県いわき市に引っ越した。そのときから週2度、浪江町のイノシシ駆除の仕事を続けている。

 震災前は10人家族だったが、今は妻裕子さん(69)と2人暮らし。周囲は空き地が目立ち、夜は静かになる。「やっぱり寂しい。でも浪江に戻るかどうか、町民の間で考え方は違う」

 森野さんの思いや近況は、15年5月と20年4月のこころ通信に掲載された。「思っていることを話せたのはありがたい」と話す。

 石井悠子さん(40)は11年…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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