子どものいじめや虐待、自殺などをテーマにした映画「子どもたちをよろしく」(隅田靖監督)が、22日の先行上映(群馬県高崎市のシネマテークたかさき)を皮切りに、順次各地の劇場で公開される。作品を企画したのは、文部官僚として長年、子どもたちを取り巻く問題に取り組んできた寺脇研さんと前川喜平さんだ。ある中学生がいじめを苦に自殺する──。そんなショッキングな結末をあえて「ネタバレ」させながら、2人は作品に込めた思いを語った。
いじめ、虐待、貧困、自殺…
作品は、北関東を舞台にしたフィクションだ。主人公の優樹菜は実母と義理の父、父の連れ子、稔との4人暮らし。酒癖の悪い義父からしばしば暴力を振るわれていたが、それでも優樹菜は家計を助けようと内緒でデリヘルで働いていた。
一方、稔は中学2年生。姉思いの優しい性格の反面、貧しい父子家庭の同級生、洋一を集団でいじめていた。
かねてより優樹菜の仕事が気になっていた稔は、デリヘルで働いていることを知る。姉を客のもとへ連れていく車のドライバーが洋一の父親だったことも判明。優樹菜は家を飛び出し、洋一は自殺する。
優樹菜を演じるのはネットフリックスのオリジナル映画「愛なき森で叫べ」でヒロインを演じた鎌滝えりさん。稔は映画「教誨師(きょうかいし)」に出演した杉田雷麟(らいる)さん、洋一は今回がデビュー作となった椿三期(つばき・さんご)さんがそれぞれ熱演する。
衝撃のラストについて、寺脇さんは「子どもをなぜ救えなかったのか、それを皆さんに考えて欲しかった」と意図を打ち明ける。
一方、前川さんは自身も不登校だったと明かす。その上で、優樹菜のキャラクターは「私が新宿・歌舞伎町の出会い系バーで話してきた女性の姿をよく投影してもらった」と述べた。
2人との主なやり取りは次の通り(以下、敬称略)。
あえてネタバレ
──子どもたちを取り巻く様々な問題が凝縮されているこの作品について、ネタバレにならない範囲でうかがえればと思って…
寺脇:いや、ネタバレという考え方がそもそも非文化的なんですよ。このごろ何かって言うと「ネタバレ厳禁」でしょ。でもね、物語の結末が事前にわかっていたって、何が見たいのかっていう話じゃないですか。
はっきり言います。この映画は最後、ある子どもが自殺してしまうんです。周りは彼のことを助けることはできません。
そんな結末が事前にわかっていても見て欲しいです。「なぜ彼を助けられなかったのか」とか、「子どもを助けられないようなストーリーにしなくてもいいじゃないか」とか、色々意見があると思う。
でも作品を見ていただくと、「ああなるほど、作品はここを見せたかったんだな」とか、あるいは子どもたちがその時、どんな表情するのかとか、そして子どもが助からなかった時に、観客の側がどんなにやるせない、複雑な思いになるのかとか、そういうことを味わってもらうために作りました。
この映画は、次の展開がどうなるかわからない、手に汗握るというような推理小説のようなものではないんです。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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