狩野浩平
2020年10月に東京都調布市で起きた東京外郭環状道路(外環道)のトンネル工事による陥没事故の現場付近で、緩んだ地盤の補修をするための住宅解体工事が17日、始まった。電気やガスなどのインフラ設備の撤去から始め、本格的な解体は来週以降の見込み。
17日は8軒の住宅でエアコンやガス管の撤去作業があった。正午ごろにバンが住宅前に乗り付けると、ゴミ処理業者らが手早くエアコンの機械を積み込んでいった。今週中に電線の引き込み線や水道メーターなども撤去していくという。
住宅解体を巡っては、外環道工事を進める東日本高速道路(NEXCO東日本)が昨年2月に着手しようとしたが、周辺住民らの抗議を受けて中断した経緯がある。今回は大きな抗議運動は起きていないが、住民団体は13日に同社と調布市の担当者に面会し、騒音や粉じん被害などへの対策を求めていた。
解体工事と並行し、近くの「入間川ぶんぶん公園」を作業場とする工事も進められた。植木は撤去され、トラックや重機が乗り込んでいた。公園の向かいに住む近田真代さん(75)は「5歳の孫がよく遊んでいた公園なのでショックを受けた。自宅も解体対象なので、『明日は我が身』という思いです」と話した。
同社は地盤補修工事の対象区域(長さ220メートル、幅16メートル)と作業場の確保のために住宅約40軒の解体を予定し、住民と交渉している。来春までに解体を終え、地盤補修工事を始めたい考えだ。
事故は、地下約50メートルのトンネル掘削工事の影響で発生。同社は謝罪し、多数のコンクリート柱(高さ約40メートル)を地中に置く工事で地盤を補修する方針を決めた。工期は約2年の予定。(狩野浩平)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル