日本年金機構が談合情報に接しながらも、当局に報告しないままでいた。通報していれば、早期に調査に着手する機会につながっていた可能性がある。結果として、2019年秋に業者への調査が着手されるまで談合が続くのを許し、国民の保険料が無駄に使われる事態を招いた恐れがある。
「談合の発覚が遅れ、立ち入り検査までの間、談合が行われてしまった」。公正取引委員会の垣内晋治・第4審査長は記者会見で、通報をめぐる機構の対応の弊害をこう述べた。「調査は総合的に勘案して着手しているが、一つのきっかけが失われたと思っている」
業者「口裏合わせを…」
関係者によると、機構は当時、入札を中止して全業者に聞き取り調査をした。だが、ある業者関係者は「事実と異なる回答をした」と話す。談合がばれたとみて、社内で対応策も検討したという。一方で、「談合を認めさせるような資料を提示されることもなかった」といい、機構の追及は厳しいものではなかったと振り返る。
別の社の関係者は、機構から…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル