研究成果を論文として公表するために、国内の研究者が学術誌に支払っている掲載料は年間23億円超に上る――。こんな調査報告書を大学図書館コンソーシアム連合(東京都)がまとめた。掲載料は研究費からまかなわれる。論文1本の掲載料が50万円以上の学術誌もあり、研究費の少ない若手研究者ほど影響は大きい。研究者からは「載せるためだけに支払うには高すぎる」と問題視する声も上がっている。
研究者にとって、論文掲載は評価につながり、キャリアにも直結する問題だ。英科学誌ネイチャーや米科学誌サイエンスなどは読者から購読料をとるため、論文の著者は掲載料を支払う必要はないが、購読者でなければ論文を読めない。一方、掲載料を徴収する学術誌はオープンアクセス(OA)誌と呼ばれ、誰もが無料で読める代わりに、論文の著者が発行コストを負担する。
同コンソーシアム連合は、2012~17年に世界で掲載された論文のうち、日本の機関に所属する研究者がメインの著者で、OA誌に載っているものを抽出。各誌が公表している掲載料などから、支払総額を算出した。
12年は約5800本の論文に対し支払総額は約7億5600万円だったが、年々増え、17年は約1万2700本で約23億4100万円に上った。学術誌のなかには、購読料に加えて一部の論文で掲載料も徴収する「ハイブリッド型」のものもあるが、調査ではこうしたものは計算から除いている。そのため、実際の支払総額はさらに多いとみられる。
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所属機関別の支払額(17年)は東京大が約1億4800万円(論文721本)、京都大が約9500万円(503本)、大阪大(401本)が約7800万円の順で多かった。支払先は、ネイチャーを有する英国の出版社グループが約8億8900万円と突出し、OA誌の先駆けとされる米国の非営利組織は約1億9500万円だった。
論文1本の掲載料は10万円台…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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