国営諫早湾干拓事業(長崎県)の堤防排水門をめぐり、福岡高裁は25日、事実上「開門せず」の判断を示した。防災上の重要性などを指摘し、国と漁業者間での歩み寄りを求める意見も付けた。湾が閉め切られて4月で25年。2500億円を費やした巨大公共事業は何をもたらしたのか。
25日の判決は、確定判決から10年以上、「ギロチン」で有名になった諫早湾の閉め切りから25年と長い時間が経過したことについて「念頭に置かざるをえない」とした。その上で、国が時間の経過とともに「事情の変動」があったとして、強制執行による開門が漁業者による「権利の乱用」だと主張する根拠の多くを採用した。
諫早湾周辺の漁獲量は増加傾向にある▽開門に向けた対策工事が地元の反対で着手できていない▽2010年の開門を命じる確定判決の後に、開門に反対する営農者などが起こした訴訟では開門を認めない判決が複数出ている▽確定判決に従って開門しない制裁として国が漁業者に支払っていた「間接強制金」が12億円あまりに上る――などだ。
こうした事情を踏まえ、開門による漁業者の利益と、堤防の防災機能といった「公共の利益」を改めて比較した結果、「(確定判決から)開門を認めるに足りるほどの違法性は失われている」と結論づけた。
和解協議は国側が拒否
また、「漁獲量の減少」を前…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル