警察で働く「先生」 子どもに耳を傾けるパイプ役、闇を見つめて

 奈良県警少年課の「少年サポートセンター」には、教員免許を持った所長補佐がいる。日々県内の子どもたちに関するトラブルの相談を受け付け、対応をアドバイスする。実は所属は県教育委員会だ。

 20年ほど前、奈良は学校の生徒が起こした暴力行為の件数が、1千人あたりで全国最多だった。なんとかできないか。県警と県教委は人事交流を始め、代々連携を深めてきた。

 その10代目が、一昨年4月から務める吉川紀子さん(54)だ。それまでは主に高校の国語科教諭として、最前線で子どもたちと接してきた。

 教育現場の実情を知る立場から、寄せられた相談に対して適切な窓口につなぎ、「現場ではこう対応する」といったノウハウを意見してきた。少年課の同僚は吉川さんを、「相談を受けたら、すぐに動く。とにかくフットワークの軽い人」と評する。これに対し吉川さんは、「早く動かないと、子ども(が抱える問題)は待ってくれへんから」。

 子どものひたむきな姿が好きで30年前、教師の道に進んだ。「目標に向かって前向きに走る子どもはキラキラしていました。(彼らに)刺激や気づきをもらえることがやりがい」。子どもたちが目標につながる扉を開こうとするとき、一緒に扉の鍵を探し、その背中を押してあげることを心がけてきた。

 でも、県警に来て、輝いて見える子どもたちが裏で抱える闇に直面した。

 「学校の現場では、警察のお…

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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