サイバー攻撃やサイバー犯罪に警察庁が対処する体制を一元化し、新たに「サイバー警察局」を設置するための警察法改正案が28日、閣議決定された。
行政機関や重要インフラ事業者などを狙った重大なサイバー事案については警察庁が自ら捜査することも定める。いまの通常国会で改正案が成立すれば、4月1日に局と捜査部隊を発足させる方針だ。
日本の警察は捜索や逮捕といった捜査の執行事務は都道府県警が担い、警察庁は指導、調整などをする立場だった。国が直接捜査する形は従来の制度からの大きな転換点となる。
今回の組織改編は、社会のデジタル化が進む中、サイバー空間での犯罪や攻撃が深刻化している状況を受けた対応だ。
改正案では、警察庁を管理する国家公安委員会と同庁の事務に、「重大サイバー事案」の捜査や対処するための活動の事務を追加。同庁の関東管区警察局が全国を管轄する形で重大事案の捜査などをする。また、サイバー警察局を設置してサイバー事案に関する業務全体を担当する。
重大サイバー事案とは、▽国や地方公共団体の情報管理、国民生活や経済活動に影響を及ぼす事業(重要インフラ)などに重大な支障が生じる▽高度な技術を用いる▽海外からの不正な活動に関与する――ものと法で規定し、警察庁が直接捜査できる対象を絞る。
警察庁の捜査部隊は「サイバー特別捜査隊」として関東管区局に設置。発足後、2022年度中に約200人の態勢を整える計画で、拠点を東京都内に置く。
これまでの検討段階では、「サイバー局」と「サイバー隊」とされていたが、内閣法制局の審査をふまえ名称を変えたという。
現在は、ネットバンキングの不正送金などのサイバー犯罪は生活安全局、政府機関やインフラ事業者、先端技術をもつ企業を狙うサイバー攻撃やサイバーテロは警備局が担当している。
これらをサイバー警察局に移し、情報通信局が担っているデータ解析とともに集約する。サイバー警察局は、情報の収集・分析を担当するサイバー企画課、捜査を指揮するサイバー捜査課、解析を担う情報技術解析課などで構成する。
また、長官官房に技術部門を設け、警察業務のデジタル化や科学技術の活用を進めるという。
警察庁に新たな局を設置するのは、1994年に保安部を昇格させて生活安全局に、通信局を情報通信局に改組して以来、28年ぶりとなる。
警察庁「独自捜査」、課題は
今回まとまった警察庁の組織…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル