浪間新太
「犬の預け先を探す」と言われて譲り渡したのに、劣悪な環境で多頭飼育して死なせた――。元の所有者がそう訴え、譲渡相手に約145万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁(本多久美子裁判長)は24日、一審・大阪地裁判決を変更し、約13万円の支払いを命じた。一審が5万円とした慰謝料を、10万円に増額した。
高裁判決によると、三重県の元所有者は2016年、京都府の動物保護ボランティアの女性から「譲渡先を探す。見つからない場合は自分で飼育する」と言われたため、犬に注射を受けさせるなど1万7760円の費用を負担した上で、雑種犬1匹を譲渡した。
女性は、引き取り手が見つかりづらい高齢や病気などを含め、多数の犬猫を多数引き取る「神様ボランティア」と称されていた。16年ごろには自宅で10匹超の犬猫を飼育する状態になっていたが、遅くとも17年ごろには、資金難などから動物病院で診察させず、自力で餌を食べない犬猫を衰弱死させるなどしていた。
一審判決は、「適切に飼育する意思や能力がなかった」とする元所有者側の訴えを認め、預け先を探すように装って犬をだまし取ったと認定。劣悪な環境下で衰弱死させたと推認できるとし、費用負担額に慰謝料5万円を加えた約6万7千円の支払いを命じた。
高裁判決は、元所有者の動物に対する愛情の深さなどを考慮し、慰謝料を10万円と算出したほか、弁護士費用のうち約1万円を賠償額に加えた。(浪間新太)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル