憲法記念日の3日、護憲派と改憲派は各地で集会を開いた。ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、憲法9条や緊急事態条項に焦点をあてた主張が展開された。
護憲派の「九条の会」などでつくるグループは東京都江東区の公園で「改憲発議許さない!守ろう平和といのちとくらし」と題して集会を開いた。主催者発表で約1万5千人が参加。新型コロナの影響で過去2年は人数を絞っていたため大規模な集会は3年ぶり。
集会では「(ウクライナ危機に)便乗した日本政府の一切の軍拡策動に反対し、憲法9条を掲げ世界の市民とともに平和をつくり出す闘いに全力を挙げてとりくむ」との宣言が読み上げられた。
登壇した上智大の中野晃一教授は「(戦争防止のために双方の国が)抑止一辺倒だと、互いに抑止と言いながら軍拡競争になる」と指摘。「9条を守り、先に攻めるつもりはないという『安心供与』をして初めて安全保障政策として成立する」と語り、憲法9条の堅持を訴えた。
一方、改憲派の「美しい日本の憲法をつくる国民の会」などは東京都千代田区で「公開憲法フォーラム」を3年ぶりに聴衆を入れて開いた。ウクライナ危機やコロナ禍などに触れ、今夏の参院選で改憲の必要性を訴えるよう各政党に求める声明文を採択した。
日本会議や日本青年会議所が協賛し、主催者発表で約500人が参加。オンラインで国内20カ所でも中継した。
声明文は、ウクライナ侵攻について「『力による現状変更』を目指す国々を隣国に持つわが国には他人ごとではない」とし、「緊急事態や安全保障上の危機を想定しない現行憲法が危機を突破する際の壁」だと主張。国会や各政党に「憲法改正で国難に対処できるよう、改憲内容の早急な合意形成を」と訴えた。
また、航空自衛隊出身の織田(おりた)邦男・元空将は「制服を着ていた時は言えなかった」と断り、「自民党の(改憲の)提言も専守防衛が前提。憲法の精神から来るからだと。何でこれを変えないのか。そんなもので守れるんですか」と述べ、憲法9条に基づく専守防衛の方針を批判した。(渡辺洋介、編集委員・北野隆一)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル