豊洲市場(東京都江東区)が開場してから、間もなく1年。初めて迎えた今夏の猛暑は、築地時代にはなかった最新の温度管理システムで乗り切った。だが、思わぬ課題も見えてきた。
「冷房が利き、涼しくて作業がしやすい。何より魚たちは喜んでいると思う」
天ぷらダネの魚を扱う仲卸「ナンバ水産」社長の難波昭信さん(58)は、水産仲卸売場棟の店で笑顔を見せた。「去年までとは、えらい違いです」
築地市場で40年近く、働いてきた。築地は外壁が少なく、ほとんど外と同じ気温のもとで玉の汗を流していたという。鮮度が落ちないよう、氷水をかけながら魚をさばき、自らも熱中症を防ぐため水分補給に気をつけていた。
移転した豊洲市場の水産仲卸売場棟は、閉鎖型の施設だ。夏場はエアコンによって19~25度に保つよう温度管理されている。汗をかかなくなり、氷代は昨年より4割ほど減った。外の気温が30度を超えていても、事務作業をする女性従業員は足元に小型ストーブを置くほどだ。
難波さんは「築地では、どんなに氷を敷き詰めても魚に温かい空気が触れてしまう悩みがあった。豊洲に来てから、魚の鮮度はよりよくなったと思う」と胸を張る。
ただし水産仲卸売場棟は500近い業者が入り、広さも約4万平方メートルに及ぶ。
仲卸「山治(やまはる)」の店は、荷物の積み込み場の目の前。忙しい時間帯はシャッターが開いたままになって外の空気が入ってきやすく、建物の中央付近と比べて温度が高くなりがちだという。「築地と比べれば段違いでいいけれど、ちょっと不公平な気はする」と社長の山崎康弘さん(50)。「温度計を見たら、28度になっていた日もあった。魚にとっても、もう少し低い方がありがたい」
豊洲市場の水産仲卸業者でつく…
980円で月300本まで有料記事を読めるお得なシンプルコースのお申し込みはこちら
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
Leave a Comment