トヨタグループの総合商社「豊田通商」(本店・名古屋市中村区)が名古屋国税局の税務調査を受け、2018年3月期に約1億円の所得隠しを指摘されていたことがわかった。このうち約3千万円は、英国にある子会社から受け取る債務保証料を収入に計上していなかったという。
豊田通商は取材に「海外子会社に対する債務保証料につき、申告漏れの指摘があったことは事実であり、国税当局の指摘に従い、修正申告に応じた。今後、一層適切な税務処理を進めていく」とコメントした。
関係者によると、同社は海外の子会社が金融機関から取引保証を受ける際、金融機関に債務保証をしている。その際、子会社は同社に債務保証料を支払うことになっている。
しかし今回は、英国にある子会社から毎月、債務保証料の金額の報告はあったものの、実際には豊田通商の会計に計上されておらず、簿外で管理していたという。英国子会社の損益を改善するため、子会社の財務状況を立て直した後で、豊田通商が一括して債権を回収する予定だったとみられる。
国税局は、豊田通商側の簿外管理分は所得隠しにあたると判断。しかし、同社には過去に税務上の赤字があったため、追徴課税は発生しなかったという。残り約7千万円の所得隠しについては、同社は「申告漏れについては指摘に従い、修正申告に応じた」と回答した。
豊田通商のホームページによると、同社は1948年に設立。トヨタグループ唯一の商社として自動車関連事業を主軸に成長した。名古屋と東京の2本社制で、資本金は649億3600万円。従業員は3485人。2020年3月期の売上高は6兆6940億円だった。(村上潤治、花野雄太)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル