豚コレラワクチンを豚に接種へ…養豚業者歓迎も解決には課題多く 専門家「あくまで対処療法」(東海テレビ)

東海テレビ

 感染拡大に歯止めがかからない豚コレラ。国は20日、養豚場で飼育している豚へのワクチン接種を実施する方針を示しました。東海地方の養豚関係者からは安どの声が聞かれましたが、実はまだ多くの課題があるようです。

 20日午後3時過ぎから開かれた、国の豚コレラ防疫対策本部の会議。ここで決まったのが…

江藤拓農水相:
「新しい防疫指針を踏まえて、知事が予防的ワクチンの接種を養豚農家に命ずることができるようになります」

 これまで飼育する豚への豚コレラワクチンの接種に慎重だった国が、実施へと舵を切りました。

 これに先立ち、豚コレラが確認された8つの県の知事らが、農水大臣にワクチン接種の要望をしていました。

古田肇岐阜県知事:
「たいへん強い決意と危機感を持ってお話しいただきましたし、私どもの悩みについても丁寧に耳を傾けていただいておりましたので、そういったことも踏まえて1歩でも2歩でも前に踏み出していただけるのではないかということを期待しております」

 国は今後、豚へのワクチン接種の対象地域や時期など、具体的な方法について詰めることにしています。豚へのワクチン接種の方針を養豚農家はどう受け止めたのでしょうか。

 愛知県田原市の養豚農家、瓜生陽一さん。今年2月、近くの養豚場で豚コレラが確認されたため、飼育していた3700頭の全頭殺処分を余儀なくされました。

 がらんとした豚舎に豚の鳴き声が戻ってきたのは9月になってから。まだ再建の途上です。

養豚農家 瓜生さん:
「やっと1歩進めたかなという感じですよね。かなり再開について前向きになれると思いますね」

 岐阜市で国内26年ぶりとなる豚コレラが確認されたのは、去年の9月。それ以降、飼育する豚への感染は8府県まで広がり、殺処分された豚はおよそ13万6000頭に上ります。

 その間、ウイルスを運ぶ野生のイノシシへのワクチン投与は行われてきましたが、家畜の豚への接種は輸出に影響が出るため、国は認めてきませんでした。

岐阜県養豚協会 吉野毅会長:
「(Q.ワクチン接種をあとどのくらい待てますか?)待てないです!もう待てないです。本当に待てないんです。いま感染している可能性があります。そういった極限の状態がいつまで耐えられるか、もう耐えることはできないので、その辺も本当に汲んでいただいてワクチン接種の方向へ導いていただきたい」

 いつ自分の農場で発生するかわからない…見えないウイルスの恐怖と、仮に事業を再開してもまた感染するのではないかという懸念に、農家は苛まれてきました。

岐阜県養豚協会 吉野会長:
「悲願のワクチン(接種)に方向転換していただいたということで、やっと私たちの養豚経営が安心してできる環境になるということで、本当に感謝しております。長くて辛くて真っ暗闇で、やっといまトンネルを抜けて明かりが見えてきたかなというところです」

 ただこの後の道のりも、平たんではありません。

北海道大学 迫田義博教授:
「豚にワクチンを打ったから豚コレラ問題が解決するわけではなくて、あくまでも対処療法。(豚コレラウイルスを運ぶ野生の)イノシシ対策をしっかりやってウイルスの元栓を閉めないと、この問題は終わったことにならない」

 また、愛知県の大村知事は、ワクチン接種により豚肉の流通に強い規制がかかることに懸念を示しています。

大村知事:
「(流通を)例えば愛知・岐阜だけで完結させろと言った途端に、そこの養豚業は成り立たないんですよ。(Q.ワクチンを簡単に打つということは難しい?)無理でしょう、打てると思います?『あと知らん』と。『売れないかもしれないけど打っちゃったら』と言えます?現に売れませんよ、今のままでは。整理しないと、流通の方を」

Source : 国内 – Yahoo!ニュース

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