豚コレラの感染拡大を防ぐため、豚への予防的ワクチンの接種が25日、富山、石川、福井、岐阜、愛知、三重の6県で始まった。国内では2006年に予防的な接種が中止されて以来、13年ぶり。18年9月に岐阜市で国内で26年ぶりに発生し拡大が止まらず、ワクチン使用に踏み切った。ワクチンを打っても感染する可能性がある上、アフリカ豚コレラの国内侵入も懸念されており、農水省は引き続き、衛生管理の徹底を求めている。
江藤拓農相は同日の閣議後会見で「ワクチン接種をしたから、安心して養豚経営ができる話では決してない」と強調。接種豚の個体差などでワクチンの効果が不十分で感染してしまう豚に注意する必要性を示した。感染拡大防止へ「飼養衛生管理基準をしっかり守っていただく」と訴えた。
ワクチン接種に向け、同省は防疫指針を改定、感染イノシシが確認された11県を推奨地域に選定した。群馬、埼玉、長野、静岡、滋賀の5県も26日以降、実施される見込み。初回接種は11県で991施設、約130万4000頭。接種手数料は、次回以降、岐阜は1頭当たり310円、三重は同230円などの農家負担が発生する。
日本養豚協会の香川雅彦会長は「感染が広がらないことを期待したい。生産者としてアフリカ豚コレラなどの脅威も迫る中、気を引き締めて防疫作業に努める」と話す。
ワクチン接種により、一時停止中の国際獣疫事務局(OIE)の「清浄国」認定は、発生から2年となる20年9月に自動的に取り消されることが確定。清浄国復帰にはワクチン使用をやめてから1年過ぎる必要がある。「非清浄国」となることで豚肉輸出などへの影響が懸念されるが、同省は相手国の理解で、主要な輸出先とは大きく変わらない取引ができるという。
豚コレラ発生は昨年9月以降、今月24日までに岐阜、愛知、三重、福井、埼玉、長野の6県で確認。これまでに46事例・81農場の約14万頭超が殺処分された。
農相、安全性を強調
江藤拓農相は25日の閣議後会見で、豚コレラ対策でワクチン接種が始まったことを受け、ワクチン接種について消費者の理解を深めることの重要性を強調した。国内では1969年から2006年までの37年間、ワクチンを接種していたと説明。その上で「人に健康被害が出た報告は一切ない。安心して豚肉を食べていただきたい」と呼び掛けた。
一方、アジアで猛威を振るい、有効なワクチンがないアフリカ豚コレラが侵入してきた場合の衛生管理などを見据え「現場でも農水省でも、緊張感が失われないように気を配っていきたい」との考えを示した。
日本農業新聞
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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