九州北部豪雨の影響でさびれた福岡県東峰村の施設で、村の棚田米を使ったバウムクーヘンの店が5月1日、オープンする。「食べものでふるさとを元気にしたい」。そんな思いで挑むのは、関西で専門店を営んでいた女性だ。
夏はホタルが群れ飛ぶ、川沿いの棚田親水公園。その中にある古びた木造の建物の一角に、「東峰村自然菓子工房gourmand lab.(くいしん坊研究所)」はある。
「日本棚田百選」に選ばれた村の棚田米を使った米粉バウムクーヘンはきめ細かく、しっとり。森山生子(いきこ)さん(60)は「棚田米は甘みがあって、バウムにぴったり」と笑う。
森山さんは同村小石原の老舗材木店「森山銘木」の娘。忙しい両親に代わり、家族の食事をよく作った。結婚で大阪へ移り住み、育児が一段落した2004年、小さな和食店を大阪にオープンさせた。
数年後、兵庫県丹波市の特産品の開発を頼まれた。木に囲まれて育った森山さん。丹波の大ケヤキを見て、ドイツ語で「木のお菓子」を意味するバウムクーヘンを思いついた。
和食店を人に譲り、11年、丹波産米粉や黒豆を使ったバウムクーヘン専門店を丹波市で開いた。
17年7月、東峰村が豪雨に襲われた。翌月、通れる道を探して帰省した。実家は無事だったが、風景は一変していた。
翌年、実家の経営を継いでい…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル