大藤道矢
山口県が「貴賓車」として高級車のセンチュリーを購入したことをめぐり、村岡嗣政知事に損害賠償を求めた住民訴訟の控訴審判決が10日、広島高裁であった。西井和徒裁判長は、購入契約を違法として村岡知事が賠償責任を負うとした一審・山口地裁判決を取り消し、原告側の請求を退けた。
山口県は2020年4月、「皇族や外国の大使らが来県した際に乗る貴賓車」としてトヨタのセンチュリーを購入。これについて、元県職員の男性(76)が21年2月、より安価な車の選定が可能だったにもかかわらず、センチュリーを県議会議長らが日常的に使うことを想定して購入したとして、「違法な公金支出で県に損害を与えた」と訴えを起こした。
昨年11月の一審・山口地裁判決は、他の車種との比較や調達方法など、歳出を削減するための検討が「あまりに不十分だった」などと指摘。購入契約は「裁量権を逸脱、乱用した財務会計上の違法行為」だったとして、村岡知事の損害賠償責任を認めた。県側は「全面的に不服」として控訴していた。
県物品管理課によると、購入したセンチュリーの貴賓車としての利用はこれまで7日間で、皇族が利用したのは2日間。主に県議会議長の送迎に使っているという。(大藤道矢)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル