東京電力福島第一原発事故で避難して精神的苦痛を強いられたなどとして、福島県南相馬市原町区の住民42世帯140人が東電に約12億6千万円の損害賠償を求めた集団訴訟の判決が25日、仙台高裁であった。小林久起裁判長は140人に計約2億7929万円を支払うよう命じた。一審判決から約1億3300万円増額した。
小林裁判長は今年4月、住民側と東電側双方に和解案を提示。住民側は和解に応じる予定だったが、東電は6月、「総合的に判断し受け入れが困難と回答した」などとして和解案を拒否した。東電は同月、判決が確定した同種訴訟の住民に謝罪していたが、異なる対応をとった。先行していた訴訟では3月、東電の賠償を命じる控訴審判決が確定している。
仙台高裁判決によると、東電は遅くとも2008年4月には大地震による津波で原発内の電源設備が機能を失う可能性を認識しながらも、具体的な津波対策工事を先送りしたと指摘。一審・福島地裁いわき支部判決は安全対策の重大な過失など東電に悪質性があったという原告の主張は認めなかったが、この日の判決で小林裁判長は「津波対策で原発が運転停止に追い込まれる状況を避けたいという経営上の判断を優先し、事故を未然に防止する原発事業者の責務を自覚していなかった」と悪質性を認定した。
賠償額について判決は、第一…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル