新型コロナウイルスの感染拡大がとまらないなか、大阪府は3日、「赤信号」をともした。ただ大規模な休業要請などは伴っておらず、経済活動にも配慮しながら収束をはかる構えだ。しかし危機的な状況にある医療現場はより強い対応を求める一方、街ではあきらめの声も聞かれた。
午後8時、大阪のシンボル、通天閣(大阪市浪速区)が赤く染まった。
通天閣は府の要請で、その時々の警戒度に合わせた色に点灯してきた。通天閣観光の高井隆光社長(45)は「周辺のお店の人から『俺らを殺す気か』なんて言われることもある。今回の点灯は苦渋の決断」。
大阪府と大阪市は11月27日、同市中央区と北区で酒を提供する飲食店などに対し、今月11日まで午後9時までの営業とするよう要請していた。そこから1週間での「赤信号」。時短営業の要請が15日まで4日延長されることになり、飲食店はさらなる苦境が予想される。中央区のふぐ専門店「青柳」の店主、青柳勉さん(74)は、「この状況では、もうお客は来ない。あきらめている」とガランとした店内を見渡した。今冬の団体客の予約はゼロ。50席ある宴会場は空いたままだ。「ふぐ屋にとって12月と1月は1年分の稼ぎ時なのに……」(安井健悟、矢島大輔)
「外出自粛でさらに人出が減れば、営業が成り立たなくなる」
タクシー約180台を保有するナショナルタクシー(大阪市)の照屋勝晴専務は嘆く。例年なら忘年会シーズンの稼ぎ時だが、足元では飲食店への営業短縮要請などで、夜に勤務する運転手の売上高は通常の3割ほど減少。「赤信号」の点灯でさらに利用客が減ると見込み、運転手の出勤日数を抑えることも検討中という。
東京や名古屋などへの高速バスや路線バスを運行している「大阪バス」(大阪府東大阪市)は、すでに感染対策として8日から1週間の減便を予定。担当者は「府や市の(赤信号)要請の中身を検討し、改めて対応策を考える」と話す。
一方、屋内レジャー施設を手が…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル