中野龍三
親が育てられない子どもを匿名で預かる「赤ちゃんポスト」(ベビーボックス)を運営する北海道当別町の施設について、道は13日、この施設が子ども2人を受け入れたことを明らかにした。2人とも施設運営者と養子縁組をして引き取ることになっており、道は子どもの養育環境は守られているとしている。
この施設は昨年5月に開設され、運営者は獣医師で公認心理師の女性が務めている。道によると、1人目は2月、東京都在住の母親から依頼があり、運営者が対面したうえで預かった。子どもには先天性の疾患があり現在は施設にいるが、今後、親の意思を確認し、子どもを引き取る意思がなければ、運営者との養子縁組を検討するという。
2人目は3月に道内在住の妊婦から依頼があり、運営者と妊婦が養子縁組をした。医療機関で生まれ、運営者が当別町に出生届を提出。妊婦は産後の子育てが困難な可能性があり、出産前から支援が必要とされる「特定妊婦」に登録されているという。
いずれも、施設側から中央児童相談所(児相)と町に情報提供があり、両者が相談や助言にあたってきた。道は児相を通じて把握した。
道は昨年5月の施設開設以降、医療機関との連携や安全面などに課題があるとして、運営自粛を実地に3回、文書で13回要請してきたが、施設側は応じていない。ただ今回は、施設側が面談をしたうえで預かったことや、法的な養子縁組によって子どもの養育環境が整っていることを理由に、道としては「不適切ではない」との認識だ。
一方、運営者は「これ以上、養子縁組をして子どもを受け入れることは難しい」と話しているといい、道は今後、妊婦などから相談があった場合は速やかに関係機関に情報提供するよう改めて指導するという。
道は、予期しない妊娠や出産で悩みや不安を抱える妊産婦からの相談を受ける「にんしんSOSほっかいどうサポートセンター」(札幌市東区)を開設し、まずは相談するよう呼びかけている。電話(080・4621・7722)やメール、LINEなどで、匿名でも受け付けている。(中野龍三)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル