今春の高校1年生から新学習指導要領に変わり、全国の多くの高校で「情報I」の授業が始まった。大学入学共通テストにも新設されるが、専門知識のある情報科教員を、いまだに各校に配置できていない自治体も少なくない。朝日新聞が教育委員会に行った調査では、情報科の免許所有者に採用試験で加点するなど、あの手この手で教員を集めようとする姿が浮かんだ。
朝日新聞社は今年6月、全都道府県と市立高校のある政令指定都市の計65の教育委員会に、「情報」の教育態勢に関する調査を実施した。高校の情報科教員の新規採用人数は、都道府県では2018年度採用試験の44人から、毎年度51人、70人、76人と増え続け、22年度は113人となった。
また、情報科の必履修授業は高校3年間のうち1年間、週2コマと時数が少ないことから、以前は、「他教科の普通免許状も所有」という要件、いわゆる「副免許条件」をつけている自治体も少なくなかった。だが、今回の調査では、近年、廃止するところが増え、23年度採用では6道県しかないことがわかった。廃止の理由は、「出願要件を緩和して採用を促進するため」などの回答が多かった。
27道府県が加点制度を導入 免許不要の「特別枠」も
一方で近年、情報科教員を増やすため、情報科の免許を取得もしくは取得見込みである出願者に、採用試験で加点する制度も広がっている。23年度採用までに導入した道府県は27。うち半数以上が、20年度以降の導入だった。
点数は自治体によって違いがあるが、23年度採用試験から、山形県(10点→30点)や栃木県(5点→10点)のように、さらに加点幅を引き上げたところもあった。岐阜県は23年度採用から、情報処理技術者試験など一定の資格を持っている出願者に加点している。
また、教員免許を取得していなくても、情報に関する資格や専門知識のある人を「特別枠」などとして採用する自治体も増えている。茨城県は20年度採用から、群馬県、長崎県は22年度から、福島県、栃木県、山口県、愛媛県は23年度から、こうした枠を設けた。特別免許状を授与することで教えることができる。特別免許状の活用については今年4月、文部科学省が各教育委員会に積極的な活用を促す事務連絡を出していた。
「情報科だけの配置は困難」 採用の課題は
自治体によって大きな差があることが浮かび上がった情報科教員の採用状況。記事の後半では、全都道府県の採用者数と加点条件などを一覧表にして紹介しています。
また、情報科教員の採用・配…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル