栃木県足利市で2月21日に発生した山火事について、同市は15日、鎮火宣言し、災害対策本部を解散した。約106ヘクタールの山林を焼いた山火事は、出火から23日目でようやく完全に終息した。けが人はおらず、住宅への延焼はなかった。
市街地に近い両崖(りょうがい)山(標高251メートル)付近から出火し、隣接する天狗山周辺にも広がった。両山周辺のハイキングコースは入山禁止となっていたが、17日から解除される。
和泉聡市長が15日朝、県の防災ヘリで上空から現場上空を視察。地上からも隊員が山中に入り異常ないことを確認し、鎮火を判断した。市は1日に「延焼の恐れはなくなった」として鎮圧を宣言していたが、鎮火までさらに2週間要した。
鎮火まで時間がかかったことについて、市消防本部の大美賀裕消防長は「水利が悪く、岩場があって消火が難しかった上、強風が吹くとめまぐるしく風向きが変わり、延焼が広がってしまった」と解説。13日にほぼ1カ月ぶりに降ったまとまった雨が「恵みの雨だった」と振り返った。
和泉市長は会見で、高圧ポンプや消防用ホースなどの機材の充実や水源の確保を今後の課題に挙げた。「足利というと渡良瀬川の水害がまず懸念されてきたが、山火事への備えも整えたい」と語った。年内をめどに山火事の記録をまとめるとともに、ハイカーなど入山者の火の取り扱いについての取り締まり条例の制定を検討するという。(根岸敦生)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル