石川和彦
久松山(鳥取市)から行方不明になった後、ふもとの国指定重要文化財「仁風閣」に一時的に展示されていたハート形の石が25日、もともとあった登山道に戻された。踏むと幸せが訪れるとして、登山を楽しむ市民らに親しまれており、「もとの場所に戻して」との要望が仁風閣に相次いでいたという。
石の大きさは縦28センチ、幅31センチ、厚さ5センチほど。久松山の山頂へと続く東坂登山道にあった自然石で、いつからあったかはっきりしないが、昨年12月に行方不明になり、その後、市に届けられた。市は元の場所に戻そうとしたが、積雪で延期に。このことを知った仁風閣所長の坂根達哉さん(58)が市に打診し、保管を兼ねて展示していた。
古来、ハートの形はイノシシの目に似ていることから「猪目(いのめ)」と呼ばれ、魔よけや福を招く模様として神社仏閣の装飾などで使われてきた。坂根さんはコロナ禍の早期終息を願い、だれもが見られるように展示してきたが、一方で戻すタイミングも探っていたという。
この日、坂根さんは重さ6・9キロのハート形の石を背負い、長田神社から東坂登山道へ。約15分後、標高80メートル付近の場所に着いた。市教育委員会文化財課職員の立ち会いのもと、階段面の一つに据え付けた。
坂根さんは「この石は縁起物で、ここにあるべきものと思っています。市民、県民の大事な石。こちらで見ていただきたいですね」と話していた。(石川和彦)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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