身分違いの許されぬ恋 対馬に伝わる150年前の悲話、新たな歌に

 明治3(1870)年、士族の跡取りと農民の娘が結婚を許されず心中した。身分意識が色濃く残っていた時代。長崎県の対馬で起きたこの事件は悲恋をしのぶ人々に語り継がれ、今また新たな歌が生まれた。

 ●(●は歌記号〈いおり点〉)向かい風に負けず 心寄せ合った あれほど あれほど好きあったふたりがおるじゃろうか

 7月中旬、福岡市内のライブ喫茶で野田かつひこさん(57)がギターを弾きながら歌った。この日初披露された「おツヤ源作 対馬の恋の歌」。今年、野田さんが新たに作った歌だ。

 悲しい事件が起きたのは150年ほど前のこと。舞台は長崎県対馬市美津島町の今里地区。恋仲となった士族の跡取り源作、農民の娘ツヤが海に身を投げた。源作21歳、ツヤ19歳と伝わる。

 明治新政府は「四民平等」を推し進め、明治3年に平民の名字を許可、同4年には平民と華族・士族間の結婚を認めたころ。大きな時代の転換期に起きた事件は島中に知れ渡った。

歌い継がれ、歌詞は20番に

 旧美津島町の町誌(1978…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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