「見たことあるな」と懐かしんだり、「何だコレ!?」と驚いたり。「TOTOミュージアム」(北九州市小倉北区)では、そんな感情を抱くはず。誰もがもよおすたびにお世話になる、トイレを展示する施設だからだ。衛生陶器で国内最大手のTOTOが創立100周年を控えた2015年8月、本社敷地内にオープンした。
「身近にありすぎて、振り返ることをあまりしないと思うんですよね」
そう話すのは、社史資料室の松崎理都子(りつこ)さん(47)。前身のTOTO歴史資料館時代から運営や企画などに携わってきた。各地の歴史的な建物で、ヘルメットや安全ベルトをつけて古いトイレを調査することも。トイレに行く度に製品をチェックする「職業病」が進み、近ごろはちょっとやそっとの貴重さでは動じなくなっているという。
ミュージアムがめざすのは個々の製品の解説ではなく、複数の製品を並べることで物語を織りなす空間。展示品数は、食器や洗面台なども含めて約1千点に上る。「面積が歴史資料館の4倍になると聞いたときはゾッとしましたが、検討したら展示しきれなかった」と松崎さん。
シートが便器になっていてバイオ燃料で走るという「トイレバイク」が目を引くのは否めないが、決して「際物」のミュージアムではない。「快適」への進歩の歴史と、技術者たちの熱い思いが随所に感じられる。
■「不潔はイケナイ」と宣伝し…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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