新学期が始まって間もなく、北海道北見市の北見北斗高校3年の現代社会で憲法の学習が始まった。社会科の山崎辰也・主幹教諭(44)が試みたのは、身近な日常をもとに憲法を考える授業だ。
まず、生徒たちに問いかけた。「憲法を守らなければならないのは、だれでしょうか」。配られたプリントには、国民、天皇、国会議員、裁判官と選択肢が四つある。「ちょっと聞きますよ。国民と思う人」。大半の生徒が手を挙げた。「実は、違うんです。なんでだと思う? 答えを先にいうと、天皇、国会議員、裁判官です」
「えー」。意外そうな反応が生徒たちから返ってきた。
山崎さんは、根拠となる条文として「憲法尊重擁護義務」を定めた99条を生徒に読み上げさせた。さらに続けた。「国家のために個人があるのか、個人のために国家があるのか、どっちだと思う?」。この問いには、ほとんどの生徒が「個人のため」に手を挙げた。
「根っこにあるのは、『すべて国民は、個人として尊重される』と定めた13条です」。歴史を振り返ると、権力を握った者が自分たちの都合のいいように個人の自由や権利を奪ったナチス・ドイツのような例がある。山崎さんは、国家権力に歯止めをかけるために憲法があることを説明した。
ここからが、「憲法を身近な風景を通して知る」試みだ。
山崎さんは昨年、コロナ禍で…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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